病理との付き合い方 病理医からのメッセージ(8)
病理診断で用いられる染色法および各種補助診断について・1―基本染色・特殊染色・細菌検査
菅井 有
1
1岩手医科大学医学部臨床病理
pp.2030-2034
発行日 2005年11月10日
Published Date 2005/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100369
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病理診断は,①臨床所見,②肉眼所見,③組織診断,④補助診断,の4つで構成されている.組織診断が病理診断の中核であることは間違いないが,すべてではない.腸の炎症性腸疾患は肉眼所見のほうが主体で,組織所見はむしろ補助的である.このような考え方は,組織像を見ればたちどころに病理診断はできる,と勘違いしている臨床医に病理診断の本質を理解してもらうために重要である.組織像のみから診断を下す姿勢は,病理医が視野狭窄に陥る原因の1つと思われる.われわれが病理検体から引き出せる情報はもっと多彩なはずである.固定材料のみが病理医の守備範囲であると考えることは,もはや時代遅れではなかろうか.生体から診断のために切り離された組織の利用については,病理医が主体的な役割を果たすべきである.
病理の補助診断には,a. 免疫組織化学,b. 電子顕微鏡,c. 細菌検査(主に感染症),d. フローサイトメーター,e. 遺伝子解析,f. 染色体解析,が含まれるが,いずれも的確に使用すれば病理診断に大きな貢献をすることは間違いない.これらの補助診断を的確に使用するマナーを知ることが重要である.
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