危険がいっぱい―ケーススタディ・医療事故と研修医教育 第9回
低血糖と高カリウム血症をきたした糖尿病患者
田中 まゆみ
1
1聖路加国際病院内科
pp.1662-1665
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100289
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今回の症例は、意識障害をきたしているところを隣人に発見され、救急外来を受診した62歳の男性糖尿病患者である.
アリス(司会役) 本日の症例は,意識障害で救急受診した62歳の男性糖尿病患者です.
ダン(症例提示役) 患者は10年以上糖尿病と高血圧で外来フォローされている62歳黒人男性です.一人暮らしなので時々隣人がチェックしに訪問するのですが,今日はドアのベルに反応がなく,部屋に入ってみるともうろうとしていたので車で救急外来にかつぎこまれました(注1).救急外来に着いたときの血糖値は46,ただちにブドウ糖とビタミンB1を静脈注射されています.脈拍は108,血圧は134/66,呼吸数は20でした.意識は回復しましたが,ろれつが回らず,30分後の血糖は62で,再びブドウ糖静注がなされ,10%ぶどう糖液の点滴静注が開始されました.発熱や嘔吐や咳,失禁はありませんでした.
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