治療のポイント
高カリウム血症
飯田 喜俊
1,2
1阪市大
2淀川キリスト教病院内科
pp.606-608
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202210
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高カリウム血症の症状
血漿カリウムの正常値は3.5-5.0mEq/lで,5.5mEq/1以上になると高K血症とされる。血漿におけるKはそれが低すぎても高すぎても生命に危険となるのであつて,臨床においてはその可能性をつねに考慮して治療を行なわなければならない。しかし,血漿K値が上昇したからといつてただちにそれによる臨床症状が出現するわけでなく,かなりの高濃度になつてから現われてくることが多い。
身体においてKは主として細胞内に存しているが,K中毒の症状は主として細胞外液のK濃度が問題になる。血漿K濃度が6mEq/lをこえてくると四肢のしびれ感,筋脱力感,弛緩性麻痺,不整脈,そしてついには心拍停止や呼吸筋の麻痺による呼吸困難も現われてくる。この場合,血漿K濃度が同程度に上昇しても,ある患者では著明な症状が現われたり,またほとんど出現しない患者もある。一般に,急にKが上昇してきた場合(たとえば急性腎不全)では,症状が著明なことが多く,慢性にK濃度が高いときには相当血漿K値が増加しても症状はそれほどでない。また,細胞外域と細胞内のKの濃度勾配や,他のイオン,たとえばNa,Ca,Mgの異常や酸塩基平衡の異常もK中毒の症状に影響をおよぼす。
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