報告
フィリピン共和国マカティ地区女性性産業従事者におけるHIV感染に関する知識と感染予防行動
渡部 基
1
,
湯浅 資之
2
,
山城 吉徳
2
,
曽田 研二
2
1北海道教育大学札幌校
2国際協力事業団
pp.705-709
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401903000
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目的
世界保健機関の推計によれば,2000年までに全世界で,エイズウィルス(HIV)感染者の累計は少なくとも3,800万人に達する.今後の感染者の急激な増加は,アフリカ,東南アジアおよび南アジアに集中すると予測されている.
フィリピンは,タイやカンボジアなどの他の東南アジア諸国に比べると,HIV感染者数の増加は緩やかであり,感染率は低い状態を保っている.しかし,性感染症(sexually transmitted diseases;STD)の罹患率が高く,特に,性産業従事者(commercial sex workers;CSWs)において高率を示し,HIV感染が拡大する可能性が懸念されている.こうした中,フィリピン政府は,国家エイズ・STD対策計画を策定し,CSWsをはじめとしたハイリスク群に対する対策などを積極的に行っている.一方,国際機関や主要な先進国も,フィリピンにおけるエイズ対策を重視している.特に,日本は,アメリカとの協調のもと,人口・エイズ問題に対する協力を推進するための具体的な政策(人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ,GII)として,1994年度〜2000年度までの7年間で30億ドルを目途に,この分野に対する援助を実施している.こうしたGII推進の一環として,国際協力事業団(JICA)の統括の下で,1996年7月から5年間,日本とフィリピンの共同でフィリピンJICAエイズ対策プロジェクトが形成された.
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