連載 各国の目標管理型健康政策・1【新連載】
ヘルシーピープル—国民健康目標の政策決定過程
岡村 恭子
1
,
長谷川 敏彦
1
1国立医療・病院管理研究所
pp.689-694
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902995
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私たち一人ひとりにとって,また私たちの社会にとって,「健康」とは何を意味するだろうか.既に世界最長の平均寿命を達成しているわが国では,健康はもはや従来の「早死」や「疾病」だけでは捉えられない広い分野に及ぶものである(図1).また,介護負担や医療費の増大といった問題が深刻化していることからも,健康を再考する際の鍵は,延びた人生年数をいかにより良く,より健康に過ごすかということである.
国民の健康を考える際に,疾病予防(disease prevention),健康増進(health promotion),生活の質(QOL;quality of life)といった概念を取り入れ,国民全体で包括的な健康戦略・目標に取り組んでいくという試みが,世界各国で始められている.その草分け的存在である米国の「ヘルシーピープル」政策(正式名称は「健康増進・疾病予防:国民の目標」)は,1980年の誕生から20年を経て現在第3期目を迎えようとしており,2000年1月には「ヘルシーピープル2010」が発表されることとなっている.「ヘルシーピープル」は10年間で達成するべき包括的国家健康目標を掲げ,国民一人ひとりの参加を促すために様々な試みを行っている.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.