連載 自治体の保健福祉活動における理学療法士の役割・1
自治体の保健福祉活動における理学療法士の意義
山本 和儀
1
1大東市保健医療福祉センター
pp.65-69
発行日 1998年1月15日
Published Date 1998/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902962
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今日,わが国は高齢化や少子化,あるいは女性の就業率向上など社会情勢は大きく変化してきており,このような社会情勢を背景に,従来の社会保障システムでは複雑・多様化した国民ニーズに対応が困難な状況にある.このような状況のなか,福祉分野に関しては,高齢者会を展望した「新たな高齢者介護システムの構築」が求められ,その具体策として公的介護保険制度の導入が目前に控えている.さらに障害者(児)については障害者プランが,児童に関してはエンゼルプランが策定され,福祉全体が大きな変革期を迎えている.また,保健分野についても保健所法の大幅な改正による地域保健法が制定され,医療の分野でも医療制度の改正が検討されている状況にある.
これら社会保障のあり方に対する見直しは,生活形態や国民ニーズを反映したものといえるが,そのなかで重要視されているのがノーマライゼーション思想と自立(意志,自己決定権の保障)という概念であり,それに伴い各種施策の施設から在宅中心へと移行しつつある.このことは,まさしく地域リハビリテーション活動の理念と共通のものであり,われわれ理学療法上の今後の活動が,保健・医療・福祉にまたがるものであることを示唆しているものと考えられる.
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