調査報告
喫煙の精神保健に及ぼす影響—ある総合大学での解析
渡辺 登
1
Noboru WATANABE
1
1駿河台日本大学病院精神神経科
pp.65-69
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902948
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1.はじめに
喫煙はがんや虚血性心疾患をはじめとする諸疾患の危険因子であり,一方,受動喫煙は非喫煙者の健康をも害する可能性がある.そこで,米国ではたばこに有害性があるとし,たばこ製造物責任を問う裁判が行われている.しかしながら,わが国では将来に生ずるであろう喫煙による健康障害よりも,直ちに得られる心理的効果を重視するとの判断によって喫煙行動は容易に継続されており,喫煙防止対策は円滑にすすんでいない.
ところで,喫煙習慣が定着しつつある成人前後の大学生の喫煙状況に関する報告7,8,11,12)はあるものの,精神健康の観点より大学生の喫煙を十分に把握するには至っていない.この度,3,000名に近い大学生の喫煙状況と精神健康について調査を行う機会を得たので報告し,さらに,精神保健の立場から喫煙防止対策にも言及してみたい.
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