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過労死の労災認定基準改定と予防対策
上畑 鉄之丞
1
1産業メディケア研究所
pp.837-842
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902855
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はじめに
今年2月,厚生労働省は,過労死予防の最も重要な要因と考えられている長時間労働を減少させる目的で,「過重労働による健康障害防止のための総合対策」1)とする各都道府県労働局長宛の通達を出すとともに,全国136の各産業分野の事業所団体や産業保健関連団体長宛にも趣旨徹底の文書を送付した.昨年12月,過労死の労災認定基準が「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定基準について」2)とする通達で大幅に改訂されたことに続く新たな布石である.労働基準局長宛の通達が,全国の各団体にも同時に送付され,かつ厚生労働省のホームページを通じて団体名が公表されることは稀である.またすべての審議が終了した今年2月になったとは言え,1年以上にわたって続けた過労死の認定基準改訂の専門家会議の議事録が公開されたことも初めてであり,これまでこうした議事録では秘密主義を堅持してきた旧労働省の意気込みが感じられる.
認定基準が改定されてから半年たった現在,過去に業務外とされた事例が見直され,業務上として救済される事例がマスコミで報道されるなど,遺族に大きな安心を与えている.あらためて通達が出された経緯や内容とともに,今後の課題などに触れたい.
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