連載 働く人と健康・16―過労死・自死相談センター代表の立場から①
過労死・自死相談センターの活動
上畑 鉄之丞
1
1過労死・自死相談センター
pp.320-324
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101783
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国立公衆衛生院退職とその後
21世紀が始まった2001年,筆者は国立公衆衛生院を退職した.国の試験研究機関の再編で国立病院管理研究所と合併して新たに国立保健医療科学院が誕生,埼玉県和光市に新築移転した年である.移転後の1,2年は新しい機関の立ち上がりを見守りたいと考えていたが,肩たたきがかかった以上,退職はやむを得なかった.ただ,筆者のライフ・ワークの過労死問題に,思い切り取り組めるという気持ちも強かった.
筆者が過労死問題に取り組み始めたのは1970年代後半で,杏林大学衛生学教室の頃.1987年に国立公衆衛生院に移ってからも「労働者のストレス総合調査」や日本産業衛生学会の「循環器疾患の作業関連要因検討委員会」など前半は大きな仕事をしたが,後半は国立公衆衛生院内の教育研修や機関の再編・移転に追われ,過労死の労災意見書にもほとんど手がつかなかった.それでも,86年に,東京の弁護士たちと始めた年4回の「ストレス疾患労災研究会」への出席とニュースレター「健康と安全」(年4~5回)の編集はかろうじて続けていたし,職場の保健活動に従事する産業保健師たちとの勉強会「産業保健勉強会」への出席も続けていた.
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