特集 文化と健康生態・2
日常生活の健康生態・4 性の健康生態
大川 玲子
1
1国立千葉病院産婦人科
pp.734-737
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902828
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はじめに
性=セクシュアリティとは,性別や性行動,それらに関わるすべての事柄を指し,人に普遍的に備わるものである.WHOの健康の概念に,「身体的,心理的,社会的そして霊的(spiritual)に健康な状態」と提案されているが,性の健康も近年あらためて強調されるようになった.カイロ人口開発会議(1994年)で提言されたキーワード,reproductive health & rights(性と生殖における健康と権利:以下リプロと省略),すなわち「性や生殖は基本的人権としての健康の一部である」は,その代表的な概念である.
リプロはその後,北京女性会議で再確認されたように,女性が生殖や性に関わる事柄について,自己コントロールすべく支援することが内容の中心である.日本でもその内容は男女共同参画プラン(2000年)に取り入れられた.リプロにおける成果は,優性保護法から母体保護法への改定(1996年),バイアグラの承認(1999年),経口避妊薬の承認(1999年),DV防止法の制定(2001年)など,法的体系は徐々に進んでいると言えよう.
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