特集 21世紀の地域歯科保健の展開
小児期の地域口腔保健を展望する—特に咀嚼機能の育成について
赤坂 守人
1
1日本大学歯学部小児歯科学
pp.514-519
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902544
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わが国の地域歯科保健活動は,従来は主にう蝕,歯周疾患など疾病・異常の早期発見・早期治療といった2次予防を目的にした疾病指向の健康診査であった.しかし今日では,歯・口腔領域を含む住民の健康上の問題を2次予防の考え方で対応することは適切ではなくなってきている.そこで生活習慣病という概念が導入され,ライフスタイルの改善を主体とした1次予防,すなわちセルフケアが強調されているが,1次予防の推進のためには,その動機づけを生活習慣の基礎が形成される幼児・学童期に行うことが重要である.そのため,今後は地域における乳幼児健診,保育所(園)・幼稚園の園児健診,学校健診などを通じて,幼児・学童そして家庭・地域に対し,歯・口の健康教育,保健指導を行うことが不可欠かつ重要な課題になっている.
また近年,育児の多様化,育児情報の氾濫,そして親としての未熟化などが進み,一方では,核家族化の進行,地域の連帯意識の希薄化を背景にして育児に関する社会的文化的伝承が欠如した結果,親の育児不安はますます増大している.そのため,今後の地域での母子保健活動の理念や目標は,少子社会の中で子育てを行う両親への支援と地域づくりを推進していくことにある.
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