連載 公衆衛生のControversy
個別健康教育に展望はあるのか
個別健康教育への期待/個別健康教育に展望はあるのか
坂田 清美
1
1和歌山県立医科大学公衆衛生学教室
pp.450-451
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902531
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個別健康教育の歴史的位置づけ
昨年度から老人保健事業の中に個別健康教育が導入された.市町村は戸惑いながら効果的な個別健康教育のあり方を模索している.感染症が主要疾患であった時代には,医療といえば医師や医療スタッフによる治療が中心で,健康教育は従属的な位置づけであった.感染症が克服され生活習慣病が主要な疾患になった現在,優れた降圧剤や高脂血症治療薬の登場にもかかわらず,生活習慣の改善は疾病の発生を防ぐ上で最も重要な課題となった.従来の健康教育は,集団を対象としてなされることが多く,一方的な知識の伝達に終わる現象がみられた.生活習慣はその人個人の成育歴,仕事,家庭生活などにより,長期間かけて確立されており,その改善は容易ではない.老人保健事業における個別健康教育は従来の健康教育の欠点を補い,個々人の生活,仕事に併せて,個別の改善プログラムを提供し,個人の生活習慣改善に寄与しようというものである.
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