連載 海外レポート ニューヨーク州保健省の日常・11
健康づくりのための環境整備
ホスラー 晃子
1,2
Akiko S. Hosler
1,2
1ニューヨーク州保健省慢性病疫学課
2ニューヨーク州立大学公衆衛生大学院
pp.838-839
発行日 2000年11月15日
Published Date 2000/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902407
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糖尿病,循環器系疾患などの成人病は,生活習慣病と呼ばれるように,運動不足や喫煙など長年積み重ねられた生活の悪習慣が,その主な原因といわれる.特に乳幼児の死亡率が低く,伝染性の疾病がコントロールされている先進国では,国民の死亡原因の上位はこうした生活習慣病で占められていることは,周知のとおりである.予防医学の重要性が叫ばれている昨今,アメリカでも成人病予防のための生活習慣の改善は,公衆衛生の大きな課題の一つとなっている.しかし具体的にどのような方法で,多様な人々の生活習慣を望ましい方向に変えていくのかという点では,今のところまだ試行錯誤の段階といえるだろう.
最も野心的な例としては,マスコミや住民ネットワークを駆使した組織的な健康啓発キャンペーンで,一地域全体の住民の生活習慣を改善し,結果として循環器系疾病の罹患率や死亡率の低下を計ろうという試みがある.
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