連載 衛生行政キーワード・125
地域保健対策の推進に当たって
知念 希和
1
1厚生労働省健康局健康課地域保健室
pp.244-247
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208855
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はじめに—地域保健法成立までの背景
戦前に,結核や性感染症などの慢性伝染病のまん延や,国民体位の低下などに対して,新しい視点に立った予防医学の実践が必要となったことを背景にして,1937(昭和12)年に保健所法が制定された(昭和12年4月5日法律第42号).また,国民の体位の向上を図るため,都会と田舎を通じて保健所を創設し,あまねく衛生思想の啓発を図った.保健所は衣食住その他,日常生活において衛生の規範となり,また,疾病予防のための健康相談を行うなど,保健上,適切なさまざまな指導を行うことが規定された.
戦後,日本国憲法が制定され,国民の生存権の確立と,その生活の進歩向上が国家義務とされ,公衆衛生は大きく展開することとなった.1947(昭和22)年には,新たに保健所法が制定された(昭和22年9月5日法律第101号).政令市制の採用,指導事業の増加,特定疾病の治療追加などの強化・拡充を図った.また,保健所が健康相談,保健指導のほか,医事,薬事,食品衛生,環境衛生などに関する行政機能を併せ持つこととなり,公衆衛生の第一線機関として強化され,国,都道府県を通じて衛生行政組織と制度の強化が図られた.
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