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米国ではすでに1961年に米国がん協会,米国心臓協会,全米結核協会,米国公衆衛生協会の会長が共同でKennedy大統領に喫煙の健康被害に対する対策に関し要望書を提出し,医療の専門家集団としての情報提供を行っていた.わが国においては個別の研究や取り組みはあるものの,学会として喫煙の問題に取り組み始めたのは1990年代後半になってからである.わが国で初めて保健医療専門学会として,喫煙による健康被害について社会に警鐘を鳴らし取り組む姿勢を宣言したのは,「喫煙による健康被害および疾病の悪化に関する十分な知見が蓄積されたことを踏まえ,日本呼吸器学会は医療従事者および患者はもとより,広く国民全員に禁煙を強く勧告する」という喫煙に関する勧告を1997年に発表した日本呼吸器学会であった.以後,日本小児科学会(1999年),日本肺癌学会(2000年),日本公衆衛生学会(2000年),日本学校保健学会(2001年),日本循環器学会(2002年),日本口腔衛生学会(2002年)と相次いでたばこ対策の強化を表明し,会員自らの禁煙の推進や医療機関の禁煙化,および禁煙教育の推進などに取り組み始めた.
このような中,2005年の9学会合同禁煙ガイドライン1)策定は,横の繋がりの悪い医学会においても,全く異なる領域の9学会が合同で喫煙の問題に取り組むきっかけとなった.本稿では,この禁煙ガイドライン作成・公開に引き続き,学会合同でたばこ対策を推進している立場から,禁煙ガイドラインと,その後の学会合同でのたばこ対策の推進に向けた禁煙推進学術ネットワーク(http://www.tobacco-control-research-net.jp/)の活動について紹介したい.
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