調査報告
保健従事者,一般住民,医学・看護学生の末期医療に対する具体的要望
足達 淑子
1
,
中村 良子
2
,
土肥 佳子
3
,
横田 清
3
1福岡市博多保健所
2福岡市健康づくりセンター
3福岡市城南保健所
pp.274-277
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901677
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平成5年の「末期医療に関する国民の意識調査等検討会」の報告書1)でも明らかなように,末期医療に対する国民の関心は高く,苦痛の緩和や穏やかな死を望む声が少なくない.人権意識の高まりとともに,インフォームドコンセントや癌の告知に関しても論議が盛んになっている.一方,医療側からの論議は,日本医師会の第3次生命倫理懇談会の「末期医療に臨む医師の在り方」2),「がん末期医療に関するケアのマニュアル」3)などがある.しかしこれらはあるべき姿を論じたもので,医療の実態や医師を対象とした調査4〜6)は始まったばかりであり,とくに保健の領域での報告はほとんどみあたらない.
福岡市では平成4年から,市内の7つの保健所すべてに総合相談窓口と在宅介護支援センターの機能を備えた「在宅ケア・ホットライン事業」を開設し,施設間ネットワークを形成しながら相談と訪問など,ケアマネジメントを積極的に行っている.相談件数は年々増加し,平成7年末までに7保健所あわせて,実数が7,354件,延べ数が18,638件に達した.しかし事例のなかには,医療拒否,尊厳死,痴呆老人の人権問題などの観点から,処遇に迷う例もみられ,われわれ保健従事者もこれらの問題に直面せざるをえなくなってきた.
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