研究
呼吸器の免疫学的防御に及ぼす喫煙の影響
市川 誠一
1
,
戸沢 隆
2
,
杉田 暉道
1
,
小城原 新
1
,
村林 博志
1
,
宍戸 昌夫
1
1横浜市立大学医学部公衆衛生学教室
2横浜市立大学医学部衛生学教室
pp.809-815
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205969
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Ⅰ.緒言
呼吸器に及ぼす喫煙の影響としては,慢性閉塞性肺疾患,肺癌の罹患率の増加,および呼吸機能の低下などが主に報告されている.しかし,呼吸器の免疫系を主とした防御機構に関する報告は数少ない.Mediciら1)は,軽症の気管支炎患者の喀痰に含まれるIgAは炎症性刺激によって顕著に増加するが,長期重症患者ではそのような反応のないことを報告した.Falkら2)は,IgA欠乏の慢性閉塞性肺疾患患者の気道洗浄液中には,IgGとIgMが高濃度に存在していたことを報告した.またWebbら3)は,IgA欠乏の慢性閉塞性肺疾患の患者の家系を4代にわたって調べ,IgA欠乏と慢性気管支炎や肺気腫との関連を示唆した.これらの報告は,気管支で分泌される免疫グロブリンが呼吸器疾患の進展に対し,防御的役割を担う因子であることを示している.
そこで筆者らは,喀痰および唾液に含まれる免疫グロブリンやアルブミンを測定し,口腔および呼吸器の局所の免疫学的防御機構に及ぼす喫煙の影響を検討した.
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