特集 骨粗鬆症の予防戦略
骨粗鬆症治療—最近の知見
高岡 邦夫
1
,
橋本 淳
1
1大阪大学医学部整形外科学教室
pp.410-414
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901053
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◆はじめに
骨粗鬆症の薬物治療の目標は,骨量減少に由来する易骨折性の防止と易骨折性からの回復である.骨粗鬆症の発症は女性に優位であるが,その原因的因子としては,低いpeak bone mass,閉経後の急速な骨量減少,さらに老化による萎縮による骨量減少であることは周知のとおりである.薬物療法は,この閉経後の急速な骨量喪失の防止(予防的治療ともいうべきか)と骨折危険域に達してしまっている患者での骨量回復または骨の物理的強度の回復による骨折危険域からの脱出が,大きな目標であろう.骨量減少のメカニズムは,骨代謝回転での骨吸収量と骨形成量の負のバランスすなわち骨吸収の相対的優位であるとされる.したがって理論的には,骨吸収の抑制(骨代謝回転に抑制を伴う)または,骨代謝回転での骨形成促進(骨代謝回転の抑制を伴わない)による負のバランスの解消が薬物でできれば,治療が可能ということになろう.
骨粗鬆症の薬物治療は,骨粗鬆症の発症メカニズムに関する研究結果や仮説の変遷とともに変化してきた.古典的には,カルシウム出納の負のバランスにその病因を求めて,カルシウム補充摂取やビタミンD投与が行われてきた.
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