Japanese
English
総説
Schilder病に関する最近の知見
Current Views on Schilder's Disease
五十嵐 正紘
1
Masahiro Igarashi
1
1自治医科大学小児科
1Department of Pediatrics, Jichi Medicai School
pp.537-551
発行日 1979年6月1日
Published Date 1979/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204418
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I.はじめに
Schilder病は,小児の脳変性疾患の中でも最も頻度が多く,かつ古くから知られた代表的な疾患であるが,この数年の間に,従来本症の亜型とされてきた伴性劣性遺伝のadrenoleukodystrophy (副腎白質異栄養症,以下ALDと略す)に特異的な形態学的および生化学的事実が見つかつてALDが先天代謝異常であることが確立され,さらに,ALDにみられる特異所見がSchilder病の男性例の大部分に発見される34)に及んで,それまで病因として炎症ないし自己免疫性の機序が想定されてきたSchilder病の疾病概念に大きな変更が加えられた。
幸いにも筆者は生化学的立場からこの間の経過に深く関わる機会が与えられたので1,2),その事情について既に他の所で"ALDの病因"と題して詳しく論じた3)。それで本論文では,視点をかえて,①ALDの側からではなく,上記の理由で既に歴史的語彙となりつつある。Schilder病側から,この間の事情を概説し直してみる。この場合,与えられた題からすると少し旧聞になるが,古くからのSchilder病の論争点を明らかにする事が,最近の知見を"新しい"として理解して戴く上で大事であると考え,かなりの紙面を費やしたい。次に,②筆者の研究以後の最近の知見について紹介してみたい。
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