調査報告
中年期男子労働者における労働の質と疲労感に関する研究
武田 文
1
,
川田 智恵子
2
,
奥井 幸子
3
,
松本 幸恵
4
1日本大学医学部公衆衛生学教室
2東京大学医学部保健社会学教室
3岡山県立大学保健福祉学部看護学科
4NTT東京中央健康管理センター
pp.223-227
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901003
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●はじめに
近年,40〜50歳代の中年期男子における突然死1-3)や自殺4-6)の問題が指摘されてきている.疲労2)やストレスがその要因の一つと考えられ,昭和62年の労働者の健康状況調査結果においても,「大きな心配ごとや悩みごとがある」と回答した割合は40代で最も高く,過半数に達している7).その背景には,労働時間や労働の質等の労働的要因と,子供の教育,住宅問題,両親の介護等の家庭的要因が推察されている6).
このうち労働的要因については,近年,働きがい感・適性感・職場での人間関係等,質的局面の重要性が指摘されるようになってきた8-11).また,40〜50歳代において働きがい感や能力評価に対する満足度が低下する傾向も報告されている12).したがって,中年期男子の健康状態に関しては,労働の質との関わりをふまえた視座が必要と思われる.
しかしながら,中年期男子の死亡率や主観的健康をとりあげたこれまでの研究では,属性,労働時間,保健行動等との関連は検討されているものの3,13),上に述べたような労働の質との関連はあまり検討されていない.
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