教育の眼
肉体労働と知能労働(2)
佐藤 忠男
pp.71-75
発行日 1974年1月25日
Published Date 1974/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906744
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記憶力というものは,子供の時がいちばんよく働き,年をとるとだんだんダメになる,というようなことがよくいわれる.また,子供の時に身につけた知識は一生有効だが,青年になり,中年になってから学んだ知識というものは所詮つけ焼刃で,すぐ忘れてしまうものである,ともよくいわれる.そのいちばん極端なかたちは,語学は幼児期から学ぶにかぎる,という議論で,幼児期から学んだ外国語は母国語と同じくらい自分のものになるが,ある年齢に達してから学んだ外国語は,知識としては身についても,結局,それを使うにあたっては何がしかの違和感を伴わずにはいない,というのである.
語学は幼児期から学んだほうが有利だというのは,たぶん,ほんとうだろう.もっとも,そうまでして幼児期のうちに語学を学ぶことが大切か,それよりもっと他の情操教育でもやることのほうが幼児期においては重要なのではなかろうか,という問題は残る.
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