特集 地域におけるターミナルケア
末期医療に臨む医師のあり方
千原 明
1
Satoshi CHIHARA
1
1聖隷三方原病院・ホスピス
pp.610-613
発行日 1993年9月15日
Published Date 1993/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900874
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◆はじめに
これまでの医療のあり方の中では,あまりにも患者の意思・意見がないがしろにされ,医師・医療者主導のいわば一方的な医療行為が通例であった.しかし,一般市民生活の場における人権意識の芽生えとともに,医療の中においても,患者の権利意識が次算に育つところとなったが,とりわけ,すべての人間が必ず出会う問題であり,また最も人間的な要素に富む終末期医療において,人間性の回復が主張されるに至ったと思われる.終末期における医療のあり方が反省され,ここに真に人間的な温もりのある医療が展開されることによってはじめて,すべての医療現場における人間性の回復,患者の権利の回復が可能になるものと考える.
本稿では終末期医療における医師のあり方について述べるが,ここに書かれたことはすべての医師に要求される多くの共通点を有していると考える.
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