アニュアル・レポート
公衆衛生学の動向—第51回日本公衆衛生学会を中心に
髙石 昌弘
1,2
Masahiro TAKAISHI
1,2
1国立公衆衛生院
2第51回日本公衆衛生学会総会学会
pp.191-193
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900765
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◆公衆衛生活動の動向
疾病構造の変化とともに,健康にかかわる中心的課題が大きな変遷をとげ今日に至っていることはいうまでもない.しかし,それは,わが国を含むいわゆる先進国の話であって,地球上の多くの途上国では,なお低栄養や感染症の課題が中心を占めていることも良く知られている.健康問題においても南北間格差は重要な課題なのである.
1978年のアルマ・アタ宣言では,プライマリ・ヘルス・ケアの充実を命題として,「2000年までに全ての人に健康を」という目標への具体的健康政策が明らかにされた.ついで1986年のオタワ憲章で明らかにされたヘルス・プロモーションの新しい考え方は,人々のライフスタイルについて望ましい方策を示すとともに,それらを推進するための健康政策の確立や生活環境の整備を含む広範な社会環境の充実を強調した.プライマリ・ヘルス・ケアが主に途上国を対象としたものと考えることができるように,ヘルス・プロモーションは先進国を意識したものと考えることができるといわれている.
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