- 有料閲覧
- 文献概要
10月24~26日,第71回となる日本公衆衛生学会が,原田規章学会長(山口大学大学院医学系研究科環境保健医学教授)のもとで行われました.私はシンポジウム「特定健診・特定保健指導の評価と今後の在り方」で発表の機会を頂きました.座長は,学会の特定保健指導・特定健診専門委員会の委員長を務める武藤孝司教授(獨協医科大学医学部公衆衛生学講座)と,厚生労働省の検討会の委員も務められた宮崎美砂子教授(千葉大学大学院看護学研究科).毎年,日本公衆衛生学会では,シンポジウムやフォーラムにおいて,特定健診・保健指導について継続して議論されています.今回のシンポジウムでは,①特定健診・特定保健指導の評価:効果(良かった点)と課題(悪かった点),②厚生労働省の2つの検討会で出された今後の対応策以外に今後5年の間に採用すべき対応策は何か,③特定健診・特定保健指導を10年間実施した後にどのような政策を行うべきか,の3つの論点に絞って議論されました.
まず最初に,大井田隆教授(日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野・日本公衆衛生学会理事長)からは,「特定健診・特定保健指導の検討事項と今後の課題」と題して,日本公衆衛生学会として厚生労働省へ提出された要望書の内容とそのバックグラウンドとなる考え方やエビデンスについて解説がありました.特に,腹囲が基準以下でも循環器疾患の危険因子が重複する対象に対する介入の重要性が改めて示されました.この一部は,第2期の制度改正にも非肥満への対応として取り入れられています.そして興味深かったのは「メタボリックシンドローム」という言葉の認知が,国民の8割以上で,これは「生活習慣病」の内容を知っている6割,「健康日本21」の内容を知っている4%を大きく超えており,ポピュレーションアプローチとしての効果を感じさせるものでした
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.