アニュアル・レポート
公衆衛生学の動向—第52回日本公衆衛生学会を中心に
重松 峻夫
1,2
1福岡大学医学部公衆衛生学
2第52回日本公衆衛生学会総会学
pp.186-189
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900994
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◆はじめに
世界最長寿命を達成したわが国では,戦後の出生率の著しい低下により,急激な人口の高齢化が進み,人類未経験の超高齢社会の到来が目前に迫り,社会,経済全般にわたり高齢社会対策が緊急のものとなっている.公衆衛生領域でも,この急速な高齢化に伴う老人保健・医療・福祉対策が最大の課題である.
環境問題では国内の一般的大気汚染,水質汚濁はかなり改善されたとはいえ,ゴミ公害,交通公害,家庭排水,産業廃棄物その他多くの生活環境問題への対応,国際的には地球温暖化,オゾン層破壊,酸性雨など地球規模の問題が山積している.
さらに,近年新たに登場したエイズの世界的流行は,わが国でも次第に増加傾向が明らかとなり,また,異性間性的接触による感染の増加と共に人類生存への脅威として,賢明な対応が望まれている.
このような状況下で,わが国では特に急激な高齢化と医学・医療の進歩により,国民の疾病構造は大きく変化,保健医療ニーズの多様化,老人医療費の急増等に対応して,保健・医療・福祉の再編成が必要となり,先年来医療法の改正による保健医療計画,福祉8法の改正と保健福祉計画の策定,さらに保健所法を改正して地域保健の大変革と大きな転換期を迎えている.
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