データにみる健康戦略 21世紀への健康戦略—データにみるその目標・1
死の経緯
倉科 周介
1
Shiusuke KURASHINA
1
1東京都立衛生研究所
pp.496-499
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900612
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近ごろ病気の姿が変わってきてはいないだろうか.なによりもわれわれの身近から病気の影が薄くなってきてはいないだろうか.医療費の増大やある種の医療従事者の不足や,とりわけ高齢化傾向にともなう多病人口の増加など,病気にまつわる不安は募りこそすれ,間違っても弱まることだけはないような雰囲気である.だが少し落ち着いてあたりを眺めてみよう.すると案外脅えていない自分に気がつくだろう.早い話が,病気や死の不安は健康な多数にとって他人事になりつつある.それは病気や死と社会との関係に大きな変化が起こっている証拠である.20世紀も終わりに近い今は,その変化の過程を的確につかんで次の世紀への対策を練る好機といえよう.
そもそも死とは,今までどんな姿をしていたのだろうか.
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