データにみる健康戦略 21世紀への健康戦略—データにみるその目標・4
事故死の構造
倉科 周介
1
Shiusuke KURASHINA
1
1東京都立衛生研究所
pp.719-722
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900671
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自殺の増減が社会の暮らしやすさ,つまり住民の安心感の指標だとすれば,事故死の増減は安全性のそれである.人生一寸先は闇であり,運と災難がないと思うのは心得違いだと昔からいわれてきた.たしかに事故で死ぬ機会は理屈の上だけなら誰にでもある.だが際立って事故が起こりやすい条件があることも間違いない.事故を回避する知恵を身につけるのは個人の才覚と努力に属するが,そうした条件を生活環境から排除することは,あげて社会のしごとである.そしてこればかりはふところ手をしていてもなんとかなるものでは決してない.だから事故死の動向は社会の心がけのよしあしを反映するものだといってよいだろう.
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