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病気の姿をデータで読む(5)—循環障害—システムの死
倉科 周介
1
Shiusuke KURASHINA
1
1東京都立衛生研究所環境保健部
pp.775-778
発行日 1989年11月15日
Published Date 1989/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208062
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わが国で脳血管疾患が死因順位の首座を結核から奪ったのは,太平洋戦争終結後まもない1951年のことである.1953年には悪性新生物が第2位に,1958年には心疾患が第3位となった.この三者が不動のトリオを組んでおよそ20年が経過する.そして1981年,ついに脳血管疾患は悪性新生物に首位を譲って第2位に退く.さらに1985年には心疾患にも抜かれて第3位に後退した.これが1987年現在の上位3死因である.
だが脳血管疾患と心疾患をまるきり別物のように扱っているのも,習慣とはいえ不思議なものだ.悪生新生物というのは感染症と同じで包括概念である.それと比べるなら,脳血管疾患と心疾患を循環障害として一括するほうが筋が通る.そこで今回は,脳血管疾患,虚血性心疾患,心不全など,最終的には中枢臓器の突発的循環障害に起因するとみられるものを一まとめにして,駆け足で触れることにする.まず,それらの疾患による死亡の年次推移を示す(図1).
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