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病気の姿をデータで読む(12)世代の死—競合する死因
倉科 周介
1
Shiusuke KURASHINA
1
1東京都立衛生研究所環境保健部
pp.495-500
発行日 1990年7月15日
Published Date 1990/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900140
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ヒトは生まれる時刻を選ぶことはできないと前にも書いた.発車時刻が決まれば,人生の列車の時刻表はおのずと決まってしまう.人生と社会は変化のベクトルが互いに等速順行的なので,位置の移動とその効果を肌で感じることが難しい.世代が違えば社会と出合う年齢が違う.年齢が違えば同じ社会から受ける影響も違ったものになる.世代位置の差によって時間位置の移動による効果は変わってくるのだ.だから社会から受ける影響の連鎖は世代ごとに固有であり,それにしたがって病気と死のパターンも世代ごとに変わるものと考えねばならない.その変化の動向をとらえることが今後の疾病対策の鍵ではないだろうか.
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