グラフ
循環器病の専門病院オープン—国立循環器病センター
pp.9-14
発行日 1977年10月1日
Published Date 1977/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206341
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わが国の循環器疾患は,人口の老齢化が進むに伴い,心臓,脈管系を中心にますます増加の傾向にあり,とくに,二つの特徴を示している.一つは,脳血管疾患が6割,心疾患が3割を占め,しかも高齢者とくに65歳以上では脳梗塞が増加の傾向にあるが,他方では心疾患の割合も年々増加し欧米と同様な傾向を示しつつあること.また,死亡率は,最近,横ばいであるが有病率・受療率が昭和30年代後半から急激に増加していることである.昭和50年には,脳血管障害・心臓疾患・高血圧などの有病率は,1,000人あたり26.5人,死亡者数は29.3人で,成人の総死亡者数の43%を示している.他方,新生児や乳幼児の先大性心疾患,リウマチ性心疾患などの対策も重要な課題となっている.
しかし現代の医学の進歩にもかかわらず,循環器疾患の病因や病態などについては,十分にはわかっていない状況であり,心臓手術を除いて,その治療はほとんど対症療法的段階にあるにすぎない.たとえば,軽症の高血圧患者に対する降圧剤の使用にも多くの疑問があるという.また,早期診断の方法,的確な治療方針,効果的な予防法なども未だ確立されていないのが現状である.
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