特集 行動科学—その健康問題に果たす役割
保健・医療と行動科学—医学教育を中心に
中川 米造
1,2
Yonezo NAKAGAWA
1,2
1保健医療行動科学研究会
2大阪大学
pp.675-678
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900434
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■はじめに
昭和62年9月にまとめられた,「医学教育の改善に関する調査研究協力者会議最終まとめ」は,わが国の医学教育の将来を考えるためには,座右の指針としなければならない重要な文書である.これまでの医学教育の問題点を分析し,課題を明らかにして目標を設定している.とくに知識領域のみならず技術や態度,習慣についても忘れていない点は,従来軽視されることが多かった領域であるだけに高く評価しなければならない.学習されるべき基本的知識の中には,人間関係あるいは人間行動の理解という項目があげられている.基本的態度,習慣としては,
①総合的,科学的な思考力と適切な判断力
②豊かで温かい人間性と誠実さ,「患者こそ最高の師である」という認識
③様々な医療従事者の中で中心的役割を果たすための指導性および協調性
④知的好奇心,関心の広さ,自主学習の意欲
⑤高い倫理感に基づいた,意思としての社会的使命感,目的意識,責任感などがあげられている.
ただ,それらに対しての教育方法についても多少触れられてはいるが,多くの大学教員にとってはまったく未経験の領域であるために,示されたからといって簡単に実施できるものではない.
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