特集 臨床疫学
クリニカル・トライアル
齋藤 友博
1
Tomohiro SAITO
1
1国立小児病院・小児医療研究センター環境疫学
pp.832-835
発行日 1990年12月15日
Published Date 1990/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900234
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■はじめに
クリニカル・トライアルが疫学の一方法であるかについては多少議論がある.疫学が病気の原因究明,予防対策に重きを置くのに対して,クリニカル・トライアルは診断,治療方法の検討に重きを置く.米国の国立衛生研究所(NIH)の定義では,クリニカル・トライアルとは,「人間を対象として,予防,診断,治療方法の効果と価値を前視方的に検討する科学研究である」とある.一方,疫学の介入研究(Intervention Study)は,治療よりも環境要因,生活習慣を含むリスク因子の操作の影響をみる研究を指すことが多い.しかし,疫学なのか否かはともかく,日本語では臨床試験と呼ばれることの多いこの方法が臨床疫学の一分野であるばかりでなく,重要な位置を占めることに異論はないであろう.
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