調査報告
鹿児島県加治木町住民の血清過酸化脂質
栁橋 次雄
1
,
安藤 哲夫
1
,
泊 惇
1
,
脇阪 一郎
1
Tsuguo YANAGIHASHI
1
,
Tetsuo ANDO
1
,
Tsutomu TOMARI
1
,
Ichiro WAKISAKA
1
1鹿児島大学医学部公衆衛生学教室
pp.720-725
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900203
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●はじめに
動脈硬化性疾患と過酸化脂質との関係については,Glavindら1)が初めて大動脈のアテローム硬化巣に過酸化脂質の存在を証明し,粥状硬化病変の程度と過酸化脂質量との間には強い正相関があることを報告した.その後,Tappel2)やMoncadaら3)が,動脈硬化の病理発生あるいは動脈硬化性疾患発症のある段階において過酸化脂質が関与している可能性があることを指摘し,それ以来,主として臨床医家の間で動脈硬化における過酸化脂質の役割に興味が持たれるようになった.
ところで,高血圧は動脈硬化を基盤として起こる疾患の危険因子であると同時に,動脈硬化もまた高血圧にとっては危険因子の一つと考えられていることから,過酸化脂質と血圧との関係についても興味が持たれる.そこで我々は,本研究において,鹿児島県の一地域住民について血清の過酸化脂質を測定し,その値と血圧水準ならびに高血圧の出現割合との関係について,年齢,肥満などの他の関連要因と共に検討を加え,若干の知見を得たので報告する.
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