公衆衛生人国記
鹿児島県—明治維新の後遺症が残る風土
脇阪 一郎
1
Ichiro WAKISAKA
1
1鹿児島大学医学部公衆衛生学
pp.424-426
発行日 1989年6月15日
Published Date 1989/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207959
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
本誌の名称が「公衆衛生」だからといって,公衆衛生学の教授なら誰もが地域医療や公衆衛生行政に貢献した人々の紹介が出来るとは限らない.筆者が大学医学部の公衆衛生学教室の無給研究生であった頃,「公衆衛生学の教授は公衆衛生を全く知らなくても,日本の公衆衛生の進歩にとっては何の支障もない」と厚生省の高級官僚が,本音ともいえる内輪話をしていたのを聞いた記憶がある.なるほど,大学に公衆衛生学講座が開設されるずっと以前から,公衆衛生行政は存在していたのである.そう考えると,筆者が公衆衛生のことについては全くの素人であるがゆえにこの執筆を依頼されたことになり,ましてや筆者が鹿児島県入でないことを思えば,進んで筆をとる気になれないのが偽らざる心情である.甚だ不本意ながら,筆者自身の偏見に満ちた人国記を紹介する誤ちを犯すことになろうが,まずもってこの点を許して頂かねばなるまい.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.