保健婦活動—こころに残るこの1例
発達未熟児とその母へのかかわり
園田 早苗
1
1静岡県沼津保健所
pp.571
発行日 1990年8月15日
Published Date 1990/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900158
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現在,私は3歳児健康診査事後の集団指導・個別相談(以下集団・個別とする)を担当している.言語面に遅れのある母子,友達と遊べない・母子分離ができていないなど社会性・養育面に問題のある母子,精神身体神経系に障害,あるいは疑いのある母子を対象とした活動である.ここに紹介するこの事例は,集団・個別だけの関わりではなく家庭訪問などを通し,密接な継続フォローの必要性を改めて感じさせられた事例である.
〔事例〕Hちゃん3歳,両親と5歳の兄との4人暮らしで,言葉の遅れ・多動・乱暴があり,保健所の集団・個別のケースとなった.生後8カ月ごろは,名前を呼ぶと「アー」と反応があったが,9力月の頃より表情が乏しく反応も少なくなる.その頃,3歳になる兄は一人遊びが多く,友達と遊べない状況があり,母親はつきっきりで兄にかかわるようになって,Hちゃんにはビデオが遊び相手となった.1歳の頃になりHちゃんの表情や反応を気にした母親は,添い寝をしたり玩具を与えたりするようになる.1歳6カ月健康診査で,言葉の遅れ・他児に関心がない・指示にのらない・視線が合いにくい・壁に頭を打ちつけるということで,市の集団・個別の対象となった.民生事務所・市の家庭児童相談員・市の保健婦など多機関の関わりにより,母親を支えていった.
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