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病気の姿をデータで読む(3)—感染症と戦後の総死亡
倉科 周介
1
Shiusuke KURASHINA
1
1東京都立衛生研究所環境保健部
pp.644-646
発行日 1989年9月15日
Published Date 1989/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208025
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抗生物質の登場は,医療の需給構造を一変させた.
それまでは,純然たる細菌感染症はもちろんのこと,一応は,細菌感染を主病像としない疾患でも,感染が予後を大きく左右していた.その脅威が一朝にして雲散霧消したのである.その結果,初期死と前期途中死が激減し,逆に終末死が増加するに至った経過は前回説明した.早い話が,細菌感染症では人は死ななくなったように見える.だが,感染症というものは,十把一括げにして忘れてしまってよい問題では決してない.それについては,別に触れる機会もあろう.ここでは本論に入る前に,抗生物質登場による疾病像の変貌を象徴する感染症の衰退について,手短かに触れておく.
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