特集 テレワークの健康影響—コロナ禍から見えた効果と課題
Editorial—今月号の特集について
藤野 善久
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1産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室
pp.739
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210103
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新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の感染拡大防止対策として、テレワーク(主に在宅勤務)が普及した。わが国において在宅勤務は、COVID-19流行以前はワークライフバランスの向上や働き方改革として議論がなされてきたが、必ずしも一般的な働き方ではなかった。そのような中、公衆衛生的な要請を受け、人事制度や規則、必要なIT環境などの整備がないまま多くの企業が在宅勤務に踏み切ったため、労働者の多くは、準備不足のまま在宅勤務を経験することになった。
在宅勤務のメリット、デメリットは、COVID-19以前から議論されていた。しかし在宅勤務と健康に関するエビデンスはCOVID-19流行前にはほとんどなく、流行後に急速にエビデンスが報告されるようになった。このような事態を受け、WHO(世界保健機関)とILO(国際労働機関)は2022年2月に、在宅勤務における健康管理に関するブリーフレポートを発表するに至った。
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