連載 [連続小説]コロナのない保健所の日記・3
みんなちがって みんないい?
関 なおみ
Naomi SEKI
pp.599-606
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210076
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五月一八日 月曜日 五月晴れ
朝十時から区役所本庁舎五階にある第二委員会室で始まった区民厚生委員会(1)が、十二時十分前に終わったので、真歩はご機嫌で一階まで階段を駆け下り、これまで入る機会のなかった、職員食堂横の手狭な売店に入った。昼休みはいつも混雑していて買い物をする勇気がなかったが、今日はまだほとんど人がいない。おにぎりの鮭と梅を確保した後、三時のおやつ用に、定番の「まるごとバナナ」と季節限定発売の「まるごといちご」のどちらを買おうか、冷蔵食品コーナーで迷っていると、野菜たっぷりがウリの「まごころ弁当」を手に、レジに向かおうとしている職員課長に遭遇した。
「あっ、高橋課長、こんにちは。初日の遅刻といい、職員健診の件といい、毎度毎度、ご迷惑をお掛けして、本当にすみません。」
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