特別寄稿
東日本大震災から1年―宮城県からの報告
辻 一郎
1,2
1東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野
2東北大学大学院医学系研究科地域保健支援センター
pp.218-221
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102367
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はじめに
昨年の3月11日以来,すべてが変わった.まずは自宅と職場の再建,そして同時並行的に避難所めぐりも始めた.そのなかで被災地の保健衛生システムが崩壊した現実を知り,地域保健支援センターを5月1日に設置して,被災自治体の保健衛生システムの復興に向けた支援を始めた.厚生労働省から被災者健康調査を依頼され,6月下旬からは県内各地で健診を実施するとともに,事後指導会や運動・栄養教室の開催,心のケアチームとの連携など,さまざまな活動をしてきた.
正直に言って,それは自分自身の研究路線と必ずしも一致するものでなく,当初は葛藤もあった.しかし,その活動を通じて「公衆衛生の基本」が理解できたことも事実であり,「地域主権」について考える機会にもなった.平成23(2011)年3月11日という日を消すことができない以上,その後に起きたことは全て前向きに捉えるしかない.そう思いながら歩んできた日々を振り返ってみたい.
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