連載 All about 日本のワクチン・1【新連載】
風疹含有ワクチン—成人を中心に
森野 紗衣子
1
1国立感染症研究所感染症疫学センター予防接種部門
pp.60-64
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209974
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1.当該疾患の発生動向
風疹は、発熱、全身性の小紅斑や紅色丘疹、リンパ節腫脹を3主徴とする。感染症発生動向調査1)では2008年から5類感染症全数報告対象疾患に位置付けられ、臨床診断例、検査診断例ともに届出対象とされている。図12)に示されるように、過去10年間にも2回の大きな国内流行が見られた。2012〜2014年の風疹患者報告数は1万7千人を超え、2018〜2019年においても5千人以上となった。さらに、45人、6人の先天性風疹症候群の児の報告がなされた。近年の風疹流行では成人男性患者の報告数が多い。2019年の報告の94%は成人(年齢中央値:男性40歳、女性30歳)で、男女比は約3.6:1であった。また、風疹含有ワクチン接種歴は「接種歴なし」、「不明」がおのおの21%、70%と多くを占めた。なお、届け出時点で3主徴すべてがそろって報告されたのは51%と、必ずしも3主徴がそろわない症例も多い3)。
2020年以降2022年10月現在、新型コロナウイルス感染症の流行とその対策、人流抑制の影響を受け、国内の風疹患者報告数は少ない状況で推移しているが(2022年第1〜37週報告数10人)2)、世界では2022年になって過去2年間に比べ風疹報告数の増加が示されている4)。
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