特集 学校における子どもの健康課題
児童生徒の喫煙・飲酒防止教育
尾﨑 米厚
1
1鳥取大学医学部社会学講座環境予防医学分野
pp.448-453
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209165
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喫煙・飲酒防止教育の根拠
文部省(当時)による「喫煙防止教育等の推進について」1)という体育局学校健康教育課長通知(1995年)では,「学校における喫煙防止教育等の推進」を求めている.これは,厚生省(当時)から文部省に対してなされた要請を受けたものであり,公衆衛生審議会から意見具申された「たばこ行動計画検討会報告書」において,①未成年者の喫煙を防止するための教育を学校,地域,家庭において積極的に推進すべきこと,②学校などの公共の場においては,利用者に対する教育上の格段の配慮が必要とされることから,禁煙原則に立脚した対策を確立すべきこと,などが指摘されていることによる.
未成年者の薬物乱用の中で最も重要なものに喫煙と飲酒がある.未成年のうちからの喫煙開始は生涯喫煙年数および喫煙量を多くするため,成人になってからの健康影響も大きい.未成年で喫煙を開始した者は,より重症のニコチン依存に陥りやすく,その後,喫煙中止することも少なく,喫煙をやめようとしても成功率が低いことが報告されている2).未成年者に対する喫煙防止教育の医学的根拠はこれである.
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