特集 学校保健の今日的課題
児童・生徒の腎疾患
山本 博章
1,2,3
,
村上 睦美
3
Hiroaki YAMAMOTO
1,2,3
,
Mutsumi MURAKAMI
3
1川崎協同病院
2川崎協同病院小児科
3日本医科大学小児科
pp.696-701
発行日 1982年10月15日
Published Date 1982/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206598
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
学童期の長期欠席のうち疾病に基づく3大原因は,かつては結核,寄生虫症,トラコーマであったのが,近年は喘息,循環器疾患とともに,腎疾患が王座を占めるようになっている.
一方,人工透析開始例は毎年4,000〜6,000人を数え,全国では現在4万人を超す人たちが人工透析を受けている.学校検尿の費用は,年間約30〜40億円といわれており,この金額は,透析の開始時期を数カ月遅らせることにより賄いうる額である.腎疾患の治療において,完治を期待できる医療手段は皆無といってよく,それ故生活管理が重要な位置を占めているといえる.さらに,慢性腎疾患はほとんどが不可逆性であり,かつ一旦,腎不全状態となると人工透析もしくは腎移植法しかなく,それすらも技術の進歩にもかかわらず,腎機能の低下,廃絶に対して生命の維持は可能としたが,多くの問題点をかかえている.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.