特集 学校保健—心の健康づくりを中心に
児童・生徒の心身発達
市橋 保雄
1
Yasuo ICHIHASHI
1
1国立小児病院
pp.716-720
発行日 1985年11月15日
Published Date 1985/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207136
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■はじめに
人間の受胎からの成長発育は,一定点までは上向性であり,生理的に停止・退行ということはなく,その過程は,発育途上で未だ未完成な小児期といって差し支えない.
ヒトにおいては他の動物とくらべて,小児期はずいぶん長い期間である.一人前になるにはかなり長い時間を必要とするのである.そしてその成長は単に上向性で直線的に成長するというのではなく,外観的にも肥大・拡大など種々な変貌をくり返すのみならず,細胞の分化,増殖,各種機能の発達など個々あるいは相互に進展し,呼吸,消化,循環系等は終生その機能は続く.精神神経系の成長発達は最も遅れ,また内分泌系でも性に関する発現は遅れ,かつ早く老化するというように,機能上の最盛期や持続時間などの点でも発達の程度に差があるのである.
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