特集 循環器疾患を予防する
扉
神田 秀幸
1
1島根大学医学部環境保健医学講座
pp.329
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209133
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
心疾患と脳血管疾患を合わせた広義の循環器疾患は,わが国において悪性新生物に次いで死亡者数が多く,依然として公衆衛生上の課題となっています.わが国では,脳血管疾患が死因のトップであった時代がありました.この対策として,健康教育,健康診断,早期発見・早期治療,医療の充実などが図られました.1982年に旧老人保健法が制定され,国民は広く健康教育や健康診断を受けられるようになり,結果として脳血管疾患死亡は大きく減少しました.高血圧症対策や減塩教育など,保健活動による取り組みの影響も大きいと考えられています.
現在,循環器疾患のリスクは,高血圧症のみならず,糖尿病,脂質異常症,喫煙,肥満などマルチリスクの状態へと変化してきています.特定健診・特定保健指導が開始され,マルチリスクを有しやすい壮年期への公衆衛生活動が重要視されています.また,新しい展開として,家庭血圧管理や,循環器疾患予防を目的としたICT(information and communication technology)の活用など,循環器疾患予防の継続性や技術応用に期待が高まっています.地域健康づくり活動のあり方も,来るべき時代に応じた対応が求められています.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.