特集 企業経営と公衆衛生の接点
地域高齢者を支えるコンビニエンスストア—地域包括ケアシステムにおける協働を目指した取り組み
五十嵐 歩
1,2
,
山本 則子
1,2
1東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 高齢者在宅長期ケア看護学分野
2東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 緩和ケア看護学分野
pp.268-273
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209116
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高齢者を支えるコンビニエンスストア
現代,われわれの生活に不可欠になっているともいえるコンビニエンスストア(以下,コンビニ)は,高齢者にとっても身近な存在になっている.現在,日本全国に5万店舗以上のコンビニがあり,高齢者人口の38%がいずれかのコンビニから300m以内の距離に居住している1).特に都市部においてその割合は高まっており,例えば,東京23区においては高齢者の85%以上がコンビニから300m圏内に居住している.過去の調査から,多くの高齢者がコンビニを利用している実態が明らかになっており,例えば,65〜79歳の高齢者のうち男性で約半数,女性で約3割が週に1回以上コンビニを利用しているといった結果が示されている2).
日本の高齢化の進行や世帯構成の変化の状況も踏まえて,コンビニ各社は高齢者を重要な顧客と捉えており,彼・彼女らをターゲットにしたサービスを展開している1).具体的には,高齢者向け食品の充実や宅配サービス,移動販売車,高齢者の居場所としてのイートインスペースの設置,介護に関する相談窓口を併設した「介護コンビニ」などであり,その内容は幅広い.
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