映画の時間
—悲しみが,甘い涙に変わるまで—彼が愛したケーキ職人
桜山 豊夫
pp.961
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209042
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ベルリンの小さなカフェ「クロデンツ・カフェ&ベーカリー」からこの映画は始まります.常連客らしいオーレン(ロイ・ミラー)が美味しそうなケーキをオーダーし,妻への土産にクッキーも注文します.また,店のケーキ職人のトーマス(ティム・カルクオフ)に息子の誕生日プレゼントを買うおもちゃ屋について相談し,その買い物に付き合ってくれるように頼みます.
場面は変わって1年後,彼らは恋人同士になっています.この場面転換は多くの観客に大きなインパクトを与えると思います.不要な説明を省いた衝撃的なシーンによって,観客は驚きとともに映画に引き込まれていきます.男性の同性愛を描いていくのか,と思うと,物語はさらに大きく転換していきます.グレイツァ監督による鮮やかな展開です.
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