特集 アレルギー疾患対策
アレルギー疾患対策の課題と提案—患者・家族の立場から
長岡 徹
1
1特定非営利活動法人アレルギーを考える母の会事務局
pp.632-637
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208950
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
寄せられる相談—受診しているのに希望が見いだせず
NPO法人アレルギーを考える母の会(以下,当会)は,園部まり子代表の次男が重い喘息,アトピー性皮膚炎,食物アレルギー,鼻炎,結膜炎などで苦闘した末に,専門医に出会って劇的に健康を回復した経験を基にして,1999年に,ともに悩んだ母親10人で発足した.2008年には法人化した.相談を寄せる患者を適切な医療(標準治療)へと橋渡しして健康の回復を図る活動を第一にしている.具体的には,患者が適切な医療を知ることができる学習懇談会や講演会を開催し(図1),また,相談から浮かぶ社会的な課題を解決するために国や自治体,学会などに働きかける調査・提案活動を続けている.
当会は東日本大震災(2011年)や熊本地震(2016年)などの被災地域でも活動を行っている.日本アレルギー学会専門医と被災地域に同行し,保健師や栄養士,助産師,学校や保育所の教職員などが参加する研修の機会を提供する取り組みは,東日本大震災の被災地域では102回行い,参加者は6,100人を超えた(2018年3月現在).患者の声を厚生労働省や文部科学省,消費者庁などに届けて意見交換を続ける中で,当会の園部代表は省庁の検討会やアレルギー疾患対策基本法1)に基づいて設置されたアレルギー疾患対策推進協議会の委員を拝命し,国の「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」の作成にも携わらせていただいた2).
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.