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あとがき/投稿申し込み書/著作財産権譲渡同意書
高鳥毛 敏雄
pp.578
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208937
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本特集は,発足10年目を迎えた産科医療補償制度について豊川智之氏にご企画をいただきました.制度の解説だけでなく,社会制度としての意義,脳性麻痺児の発症リスク,発生予防,そして社会・地域的な支援,家族の声までを網羅した内容の特集となりました.まず,制度の運営に当たっている鈴木氏に,発足から今日に至る歩みの紹介をしていただきました.
出生は複雑,巧妙な生命現象です.受精卵が分裂し,十月十日余りの後,狭い産道を通過して自発呼吸する新生児が誕生します.母児ともに無事に生まれることの方が不思議なくらいの,とても生命リスクの大きなイベントです.しかし,母児に死亡・障害が発生すると,介助・処置した医師が業務上過失致死などで訴えられることがありました.過失責任を追及する懲罰的な法制度の下で医師を逮捕しても,その後の再発防止や脳性麻痺児の社会的支援にはつながりません.そこから産科医療を解放し,発生事象の原因分析をして再発防止につなげる社会制度として,「無過失補償」という概念を取り入れて誕生したのが産科医療補償制度です.この点を小林氏に解説していただきました.
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