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あとがき/投稿申し込み書/著作財産権譲渡同意書
高鳥毛 敏雄
pp.344
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208881
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本特集の「地方自治体と公衆衛生」は公衆衛生領域の避けて通れない,とても難しいテーマです.本年は明治維新から150年目に当たります.江戸時代の分権社会が版籍奉還と廃藩置県を経て中央集権体制に移行しました.その体制は帝国大学の整備によって官僚制度が確立したことによって盤石なものとなり,今日に至っています.そのおかげで短期間に欧米列強に追いつくことができたと言えます.
佐藤誠三郎氏の『「死の跳躍」を越えて—西洋の衝撃と日本』(千倉書房)を拝読すると,内務卿となった大久保利通は,当初は英国を手本にしようとしたようです.しかし,当時は民衆も政事(治)家も全く育っておらず,早々にその選択を捨て,プロシア・オーストリア型の官僚制度を基盤とした国家体制で当面をしのぐことを選択したようです.そして,資質を備えた「政事家」の養成や地方自治制度の確立は後世に託したようです.明治11年に死去した大久保の跡を継いだ伊藤博文の「世間には大久保公を目して圧政家のように思う者もあるようだが,それは甚だしい間違いである.大久保公は早くより立憲政体を主唱された有力な一人である」との言葉から,そのことが伺われます.
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