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あとがき/投稿申し込み書/著作財産権譲渡同意書
高鳥毛 敏雄
pp.420
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209415
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国連は2030年までを目標とした「持続可能な開発目標」(SDGs)の取り組みを世界的に進めています.2025年には「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした大阪・関西万博が予定されています.この10年が公衆衛生の転換期となると思い,本号の特集を企画いたしました.
本号の編集中に新型コロナウイルス感染症の流行が始まり,パンデミックになるに至っています.歴史をたどってみると,19世紀のコレラのパンデミックが公衆衛生制度の生みの親とされています.その頃はコレラ菌が発見されておらず,治療薬もなく,検疫でも流行を制御できませんでした.そのため,衛生当局と国民が力を合わせた衛生対策に取り組む体制をつくる必要が生じて近代の公衆衛生が誕生したとされています.現在,新型コロナウイルス感染症に対してのワクチンや治療薬剤はありません.病院医療だけでは対応できず,まさに,かつてのコレラパンデミックと同じ状況に立たされています.コレラのパンデミックには,19世紀に蒸気船が登場し,国際化・グローバル化が革命的に進展したことが影響しています.新型コロナウイルスは,格安航空会社(LCC)を含めた航空機の大衆化・高速化によって多数の人々が短時間に国境を超えて移動する21世紀の社会の特徴から広がったものといえます.
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